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硝子
mitori

古ぼけた頭のかわりに、円環をたずさえて

ゆっくりと階段を降りてゆく

やがて床面に足がつくとき、

言い積もったことばの通り

ゆっくり栞が外れていく。

渡り廊下の

粗く組み直された硝子に沿い

ゆっくり 枝を貼り合わせる

挫折の模様になっていく

(それは見たことがあるものだ⸺遠くにあるわたしの身体、
言い積もったことばの通り、
わたしの声が隙間を継ぐ。)

わたしと外は、力薄く隔てられた。

弱い目を繰り、

びいだまを通して見る、

土の裏側、

ゆっくり、月の死骸がまわっている。

(ゆっくり。確かにまわっている。)

(Photo by ren lavsad)